あなたに映る花

――ねえ、拓真。

そうでしょ?

殴られながら良太を止めるのが、あたし達の役目でしょ?

せっかくそうやってここまで来たのに…。

今さら、投げ出すの?

あたしは出来ないよ…。
景くんが怪我するのも、良太が彼を殴るのも、拓真がそれを平然と見てるのも、マナ先輩達が止めようとして怪我するのも、見たくない。

せっかくあたし達、居場所が出来たんじゃない…

みんなが良太を遠巻きにする中で、唯一受け入れてくれた所じゃん…



あたしはなんとか抜けようともがく。

だけど拓真の手は離してくれなかった。

拓真の目を見ると――


…なんで?

なんで、そんな目で景くんを見るの?

冷たくて、まるで景くんが殴られるのを、いい気味だといわんばかりの目で…。


良太が、景くんに向き直る。
その鋭い眼差しを、景くんは真っ直ぐ受け止めた。

「…てめぇは……自分は女だなんだ言いやがってなぁ…ムカつくんだよ…この甘ちゃんが」


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