あなたに映る花
「……」
景くんは、何も言わない。
「でも……田沢に向かっていったのを見たときは、少し見直したんだぜ?マナ先輩に守られにきたわけじゃねぇと思ったからな。……だけど、今回ばかりは我慢ならねぇ」
ゆっくりと顔を上げた良太は、鬼のようだった。
「佑や先輩達から主役奪っといて、惚れた男と会うのが嫌だからできませんだあ?………っざけんな!!!」
良太の怒声は、あたしの心に突き刺さる。
「俺は許せねえ!てめぇみたいな半端な奴が、俺達の居場所を掻き回すなんてよお!やっぱ体が中途半端な奴は、心も中途半端なんだな」
景くんの肩がビクッと震える。
「……っ」
「この程度で泣くのかよ!てめぇみたいなガキは、家に帰ってママに甘えてろ!」
そう言い放った良太は――
景くんに向かって、拳を振り下ろした。
「良太…!」
マナ先輩が叫ぶ。
良太の右手は景くんの顔に向かい――