あなたに映る花

「やめてっ!」

――そのまま景くんを殴り飛ばした。

軽い景くんの身体は、後ろにいた先輩達の中へすっ飛ぶ。

「景くん!」

マナ先輩が景くんを抱き起こす。

景くんの顔は半分真っ赤だった。
あたしは必死に叫ぶ。
「景くん!――離してよ拓真!」

あたしは腕を引っ張る。

すると、思いの他するりと抜けた。

………?

不思議に思い拓真を見ると、彼は茫然としていた。

「……拓真?」

呼びかけても返事がない。

揺さ振ろうとした矢先、良太がゆらりと前に進んだ。

「良太!」

あたしは急いで駆け寄り、景くんの前に立った。

「ダメ!そんなことしたら……」

取り返しのつかないことになっちゃう。

校内での暴力沙汰は停学だ。

「……結局お前も、そっちになびいたってわけか?佑」

「え…?そんな…」

良太が、喉をクックッと鳴らす。

そして、あたしを怒鳴りつけた。

「退けよこの尻軽女!」


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