あなたに映る花
それを聞いた景くんは、ふっと眉尻を下げた。
「嫌な思いをさせたのはごめんなさい…ただ、もし私がそのまま拳を受けていたら、この部が潰れたり、マナ先輩が責任を取らされてしまうんじゃないかと思ったんです」
良太がはっとする。
確かに景くんの言う通りだ。
もし景くんが大怪我をしていたら、問題がある部として廃部にされかねないし、止められなかった部長であるマナ先輩が責任を取らなきゃいけなくなる。
景くんは、そこまで考えて、良太もスッキリする方法で片を付けてくれたんだ。
複雑な顔をする良太に、景くんが歩み寄った。
「私の優柔不断で皆さんに迷惑をかけてしまいました。……私は、この役を降りた方が良さそうですね」
それを聞いた良太が、焦ったように首を振る。
「お、おい…!気にすんなよ俺の言ったことなんか!」
すると景くんは、良太の手を取った。
「良太先輩のおっしゃることは正しいと思います。主役というのは、きちんと本番も演じることのできる方がやるべきです」
だけど、良太は納得できないみたい。