あなたに映る花

外に出ると、もう日が傾いていた。

オレンジに染まった校庭を、あたし達は並んで見つめる。

「…キレイだね」

思わず口をついて出た言葉に、拓真と良太は頷いてくれた。



ふと、校庭のわきに生えている桜の木に目が行く。

もう花も散り若葉のしげる木の下にいる人影。


あれは――

「……誠二先輩?」


間違いない。

あの独特の雰囲気は、誠二先輩のものだ。

あたしの声につられて良太と拓真もそっちを見る。

「な、なにやってんだ?」

「……声かけてみる?」


拓真の言葉にあたしと良太は無言で頷き、そっと近付く。

本人の顔がはっきり見えてきたところで、あたしはそっと声を掛けた。

「あ、あの――「……どこにいるのさ」

……え?

彼の口から発せられた鋭い声音に、あたし達は思わず動きを止める。

誠二先輩はあたし達に気づいていないのか、そのまま言葉を続けた。

「…早く迎えに来てあげなよ。僕じゃ代わりは出来ないんだから…」



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