あなたに映る花
「え!?」
「「わ~~~~!!!!」」
「ふむっ」
二人が慌てて景くんの口を塞ぐけど…。
聞こえてしまった。
顔が熱くなってくる。
「バカ!景!なんで言うんだよ!」
「俺達に恥ずかしい思いさせるなよ……」
良太と拓真が上擦った声で景くんに呟く。
だけど景くんはそれにただ微笑み、二人の背中をドンッと押した。
「ほら、照れたりせずに、素直に褒めてあげてください!」
「わ、ちょ」
二人は、よろけながらあたしの前に押し出される。
俯いたままなかなか顔を上げてくれないので、あたしから攻めることにした。
「どうしたの?」
下から覗き込むと、弾かれたように顔を上げ、また後ずさろうとするが…
「させませんから。ね?」
景くんが控えていた。
……こういうとき、景くんがすごく女の子に見える。
前門の虎(あたし)後門の狼(景くん)。
状況を確認した拓真は、吹っ切れたように背筋を正した。