あなたに映る花
「やあやあ西野くん!相変わらずのボロ小屋だねここは」
「あ~らそう思うんならさっさと出てって下さる?私達稽古中なの。邪魔くさいわ♪」
マナ先輩の毒を含んだ言葉を田沢は鼻で笑った。
「言われなくてもすぐ出ていきたいよこんな掘っ建て小屋。――彼を渡しさえすればね」
ヤツのキツネ目が景くんを捕らえる。景くんはじっとその目を見返した。
「…何かご用でしょうか」
「ボクと一緒に来なよ。宮野景くん?」
あたしはとっさに景くんの前に出た。
「先輩!?」
「近寄らないでくれます?」
「…ほう」
田沢が睨みを効かせてくる。
う……やっぱ苦手だ、この人。