あなたに映る花
「…錫斗。景姫に思いを抱き、そのあまりの強さに狂い、景姫を殺して永遠に自分の物にしようとした男………」
…もし。
もし、錫斗って人が、記憶を持って生まれ変わっているとしたら……。
「…また、景くんを探そうとするんじゃ……」
「それだけじゃすまない」
拓真の声が真剣味を帯びる。
「景を見つけるだけじゃ飽き足らないよ。必ず景を我が物にしようとする」
「で、でも、景くん身体は男の子で……」
あたしがしどろもどろに弁解すると、拓真がチッと舌を打った。
「昔は衆道とか言ったけど、同性愛っていう考え方も存在する。ましてや景の中身は女だから、精神的には普通の恋愛になるんだよ」
……うぅ。
言い返せない……。
ぶすむくれているあたしを見た良太が、拓真を横目で睨みながらフォローしてくれる。
「だ、大丈夫だろ!ほら、景は腕っぷしが強いし、そんなのが来たって一発でのしちまえば……」
「景がそんなこと出来ると思うか?」
拓真が呆れ返る。
「景は他人に害を為す奴には容赦ないけど、自分に害を為そうとする奴を攻撃できない。初めて会ったときも、そうだったろ?」