あなたに映る花




あたし達は、景くんと一緒に部室へと向かっていた。

景くんは、あたし達の後を黙ってついて来る。

その寂しそうな様子を見て、あたしはさっきの良太達の考えと田沢の言葉を思い出していた。

………あんな計画、上手くいくのだろうか。

ちらっと横を見やると、良太がまだぶつぶつ言っている。

恐らく、さっきの案をどうやってマナ先輩達に伝えるのか考えていたのだろう。


『あやつと――斎藤弓鶴と共にいることが、貴様の幸せとは限らんぞ、景』

田沢はそう言い残して去っていった。

景くんを振り返る。

……大丈夫かな。


あたしは、二人よりも歩みを遅めて景くんに並んだ。

「…景くん…」

声をかけると、ゆるりと顔を上げる。

泣き腫らして真っ赤な目は、きちんとあたしを映していた。

あたしは躊躇いながら続ける。


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