あなたに映る花

え……

「ええええ?」

自分でも頬が火照るのがわかる。

「手、手を出す、って…つまり…」

「…お考えの通りです」

景くんが頷く。

「元々君仁が私を執拗に狙ったのは、半分でも充分妖力の強い私との間に跡継ぎを作るためです。…実際、全てが終わった後、君仁は私を妻にしました」

は!?

何それ!?

「そんなのひどい!」

あたしが激昂すると、景くんは大きく首を左右に振る。

「違います。もし君仁が私を森の中に捨ておけば、追っ手の人間に殺されるか、野犬に殺されるかしていたでしょう。…君仁は私を助けてくれました。そして妻にした後も絶対に私に手を出さず、触りもせず、ただ…時々、話を聞いてくれました」

景くんの瞳が切なげに揺れる。

「…私を、最期まで弓鶴様のものでいさせてくれました」

え…最期って…

「…景くん、それって…」

「……………」


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