あなたに映る花
立たせてもらった後も、なかなか顔を上げられなかった。
その間も、じっと私を見つめる視線。
「……大丈夫か?」
躊躇いがちに掛けられた言葉に、私はようやく覚醒する。
「す、すすすみませんでしたっ!!!!」
慌てて頭を下げると、上から困ったような声が振ってくる。
「別に謝んなくたっていいだろ」
顔見せろよ、と笑いを含んだ声に、恐る恐る顔を上げる。
そこには、微笑を浮かべた綺麗な人。
「あ、あの…」
その人は、私の顔をまじまじと見る。
「…ほんとに桜の精霊みたいだな」
感嘆を込めた言葉に、私は本気で聞き返した。
「貴方が桜の精なのではないのですか?」
…………。
「………」
数瞬の間。
クッ、と喉を鳴らす音が聞こえた。