おかん
それでもやはりおかんは
おれを見捨てなかった。


仕事のこと。
体調のこと。

いつもおれの事を
心配してくれていた。

夜遊びに出る日は
確実に減っていた。

仕事を始めて
体が疲れていた。

それでも友達の
誘いがあると
おれはいつも出かけた。

『明日仕事なんやき
遊びまわりなさんな。
体壊してしまうばい。』

そんな目に見えた優しさも
おれはいやがった。

二十歳にもなって
親にそんな注意を
受けたくなかった。

二十歳にもなって
当たり前の事も分からず
好き勝手していたのは
自分自身なのに
いつもおれは
自分を正当化し続けた。
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