未定
白地に赤いラインの入ったノート。
女子にしてはシンプルだといわれるこのノートを手渡す。
篠原はそれをぱらぱらとめくり、目的のページを開くとじっと見つめた。
「さんきゅ。やっぱ桜木のノートは見やすいな」
この言葉は私にとって、もう嬉しくも何ともない。
だって毎回そう言われるから。
「もっと気の利かしたこと言ってよ」
「だって見やすい意外取り柄ないじゃん」
絡みの浅い、言葉のキャッチボール。
受け取ったボールをただ投げるだけ。
相手が取りやすいかなんて、考えてもない。