双子様の恋愛
気づいたら、もう声が出てた。




「いますよ、ここに!!」

「え?」





心底驚いた顔をしている莉乃。




驚いたのはこっちだって。





「莉乃。」

「疾風…。」






俺は莉乃の前にあったマイクを手に取った。





「白神疾風です。突然すいません。俺も莉乃と別れる予定はないです。恋愛は自由。そうですよね?莉乃のファンの皆さん。裏切られた、なんて思わないでください。莉乃はいつも皆さんのことを考えています。」





來堵と菜架ちゃんを盗み見すると、笑ってくれた。





もちろん、莉乃も。





「それと、俺を散々に言った報道陣の皆さん。…莉乃のことは悪く言わないでくれてありがとうございました。」





俺は莉乃を守れればいい。




ホントにそう思う。







「俺は社会人として、莉乃と節度ある付き合いをするつもりです。もちろん、仕事もプロとしてキッチリやります。何か文句がある方は、是非、直接言いに来てください。」





最後に、今まで一回もしたことない営業スマイルというやつをしてやった。





そしてマイクを置いた。




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