双子様の恋愛
*疾風





莉乃がそんな風に思ってるなんて知らなかった。






逆に悩ませてたんだな。





なにも言わないことだけが相手のためじゃないことを今更知った。






莉乃を子供だと思ってなんかない。






むしろ、考え方は俺より大人だと思う。






莉乃がここまで言ってくれてるんだから、俺の気持ちを全部話そう。









「あの女が死んだって、正直どうでもよかった。」

「うん。」

「ただ、怖かった。俺はあの女の呪縛から逃れたかったのに、死んだら一生解放されないんじゃないかって。」

「うん…。」

「今俺がすぐ熱だしたり眠れなかったり、不安定なのもアイツのせい。」






莉乃は手を握ったまま、相づちを打ちながら聞いてくれる。







「悔しかった。飯食いに行ったとき、信じそうになった。だってアイツ、昔のこととか話し出したりするし…。結局裏切られたけど。」

「うん。」

「自分が情けなくて悔しくて、消えたくなった。」






莉乃の手の力が強くなった。





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