嘘と紅茶とバウムクーヘン 【短編】
「……俺は藍依が好きだ、ずっと前から。山本さんのことは嘘、告白されたのは本当だけど」
つらつらと、彰哉はひどく冷静にそう述べた。
―――嘘、だと?
その嘘に傷付いたわたしが、生まれて初めて涙を流したと言うのに。
ああでも、告白されたのは本当だったのか…。
って、違う!!
お前はわたしを騙して、どんな反応をするか窺うつもりだったということだな!
な、なんと卑劣な野郎だ…!
『お前っ……わ、わたしがどんな気持ちで…!』
…しかし、どうしたことだろう。
ふつふつと沸いてくる怒りの向こう側で、嬉々とする自分がいた。