X'mas☆stories


「千夏~。」


「ほえ?」



昼休み。友達のひかりと喋っていると、だれかがあたしの名前を呼んだ。




「あ、紅くんっ」



嘘嘘嘘~~~っっ!!

いつもは学校じゃあんまり話しかけてくれないのにぃぃぃぃっ!!
やばいっ、すごくうれしいっ。






「ごめんね、ちょっと行って来る。」



あたしはそう言って席を立った。


だけど、一歩を踏む出そうとした瞬間、あたしの視界は傾いた。





「ってえぇっ?!」




ベチンッ



勢いよく床に寝そべるように転んだあたし。

いくらなんでもどんくさすぎる……





「ちょっとー。なんで席たって一歩踏み出しただけで転ぶのよ。」


はい、と呆れ顔で起き上がらせてくれたひかり。



「うぅっ……。おでこぶつけたぁ……。」


「大丈夫か?千夏。」





制服のほこりをはらっていたあたしの上からかけられた声。






「紅くん………」


うわぁ……。完璧にみられたぁ……よりによって彼氏のまえで転ぶってありえないでしょ。











「聞きたいことあったけど、また次の機会にするわ。
おでこ痛いなら保健室いって見てもらえよ。じゃ。」



爽やかな笑顔で帰っていく紅くん。


あぁ……まただ。

























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