Sweet Sweet Christmas
「あっ、あたし…
悪いけど気分悪いから帰るっ!!」

「あ、ちょっと梨亜!!」

「え?」


俺はそんな声がした方を向いた。
その言葉通り、梨亜はカバンを持って店から出ようとしてる。



「梨亜っ!!」

「なっ…晴輝!!何よ…触んないでっ!!」


ばしっと強く、俺が掴んだ手を振りほどいた梨亜。
強くし過ぎたと感じたのか、一瞬申し訳なさそうな顔をしたけど、すぐにきつい表情に戻る。


「あたし、悪くないんだから!!」


カランカラン…


虚しくドアの閉まる音だけが残る。



「晴輝くん、大丈夫…?」

「店長、騒いでしまってすみません。
大丈夫です、仕事に戻ります。」




あと2回だ。
あと2回頑張れば、あれが手に入るし…そしたら梨亜だって喜んでくれる。

俺は自分にそう言い聞かせた。

でないと…折れてしまいそうだった。
ずっと会いたかったはずの梨亜に、あんな顔されて…あんな風に拒絶されて…。


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