Sweet Sweet Christmas
「…晴輝のバカ。」

「え?」

「あたしが…どんなにみじめな気持ちで街を歩いてたか分かってる?
周りはカップルだらけでさ、しかもイルミネーション綺麗だし。
…あたしだって、今年は初めて…そういう風に…。」


その先を口ごもる梨亜。
まぁ…梨亜の性格を考慮すれば仕方のないことだ。


「…ごめん。俺、余裕なかった。
一番考えなくちゃいけなかった梨亜の気持ちを無視してた。
だから…ごめん。」


俺はそう言いながら、抱きしめた梨亜の頭を撫でた。
いつにも増して、梨亜は俺にぴとっとくっついている気がする。しかも珍しく…梨亜の方から。



「一番大事な彼女の気持ちを無視するなんてサイテーなんだからね。
ちゃんと事の重大さ、分かってる?」

「分かってるよ。
だからこうしてるんだけど?」

「なっ…なんか都合いい!!
あたしそんな軽くて都合のいい女じゃ…。」

「梨亜のこと、軽いとか都合がいいなんて思ったこと、一度もないよ。
俺はいつも梨亜に振り回されっぱなしだ。」

「なっ…!!あたしが悪いみたいじゃない!!」

「そうじゃないって。
梨亜がいつも、俺の中心だから。
だから振り回されてんだよ。」

< 47 / 65 >

この作品をシェア

pagetop