Sweet Sweet Christmas
俺は紀紗の右手をそっと取った。
そしてその手に口づけた。


「ゆっ…悠夜っ…!!」

「俺たちの始まりは…紀紗の指先だったんだよなって。」

「え?」

「紀紗が弾く音がどうしようもないくらい好きになった。
紀紗の指先に…恋したんだ。」

「…っ…。」

「紀紗がいない間…何度も夢を見た。」

「夢?」

「うん。
紀紗の指先を何度も…夢に見た。
だからそれを曲にしたんだ。」

「……。」

「さて、もうそろそろ帰ろうか。
俺のやりたかったことは全部終わったし…。
それにもう寒いだろ?」

「…うん。」


俺はそのまま、紀紗の右手を握った。
そして、8番練習室を後にした。

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