完璧男子
「優枝、また風邪ひくと困るし帰るぞ」

「うん」




 よく2人で通ったこの道は今日から違う気持ちで通る。




 蓮が私の手を取った。



 私も蓮の大きな手を握り返す。




「蓮様っ♥」


 急に私たちの前に一台の車が出て顔をのぞかせた果菜実さん。



「何」

「どおしてそんなに冷たいんですの…?」

「興味ないものに優しくする必要なんかないから?」



 蓮って酷い…。




「私、考えたんですの。 今、蓮様が大事にしているものを奪ってしまえば私に目が行くんじゃないかしら? って」




 蓮が大事にしてるもの?




 会社?



 友達?



 何だろう?




 どっちにしても…



「蓮からそれを奪うのは無理だよ」



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