完璧男子
「何やってんの…、鞄ぐらい俺が持つっつの。優枝も持たれたい?」


 クスッと笑って私の脇に手を入れた蓮。


「ひゃぁっ!! いっ、いいっ!! 歩ける!!」

「んな声出すなよ…俺、悲しー…」

「ごめっ…蓮…怒った…?」



 私よりずっと上にある蓮の顔をのぞく。




「怒ってねぇよ。 ほら、手ぐらいはいい?」

「…うんっ!!」



 よかったぁ……。




 スッと伸びてきた制服がまくってある強そうな腕。


「なぁ? 覚えてるか?」


 歩きながらちょっとこっちを見た蓮。


「何のこと?」

「1学期の期末♪ 俺に負けたよな?」

「…覚えてたの…?」



 蓮は忘れたと思って言わなかったのに…。


「忘れるわけねぇだろっ♪」

「…ハイ」



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