完璧男子
 伸ばした手は届かなくて…自分の胸の前に戻ってきてる。



「先生。俺が連れていくんで平気ですよ」



 え…?



 関節が痛くて上を向けない。




 でも…この声は間違いなく蓮。



「優枝、行くぞ」


 そう言ってヒョイッと持ち上げられた私のからだ。



 朝みたいな声をだす力なんてものはもうない。



「おっ、おぅ…頼んだぞ…」


 お姫様だっこでも担がれてるわけでもない。




 普通に抱っこ。



 だけどそれがすごく嬉しくて嬉しくて…力もなく笑う。




「今日は帰れ」

「…なん…で…」



 蓮に心配かけないように…そう思ってやったことなのに…ね…?



 余計なことだった…?





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