完璧男子
「ただいま…」

「優枝? おかえりー…って蓮君まで!! どうしたの?」


 いつもと様子が違うのがわかったのかママは私たちの顔色をうかがった。


「いえ、なんでもないですよ」


 蓮がそう答えると「そう?」と言ってリビングに戻って行った。



「俺さ…ちょっと気になってることがあるんだけど…親父さん戻ってる?」


 玄関の靴を見て蓮が言う。




「んー…パパの靴あるし書斎にいるんじゃないかな…? 行く?」

「ああ」




 蓮を書斎に連れていくとパパは椅子に座ってパソコンを操作している。



「あれ? 優枝…蓮君もじゃないか。どうかした?」


「ちょっと伺いたいことがあって…優枝は…聞かない方がいいかもな。ママさんのとこにいて」



 蓮にそう言われたから頷きリビングに行った。




「蓮君は?」

「パパと話してる」

「今ね、電話があって…病院行ったの?」

「あ、うん」

「精神科らしいじゃない…何かあったの?」

「たいしたことじゃないよ、大丈夫」




 そう言ってソファに座って近くに置いてあった会社の資料ファイルを開いた。


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