完璧男子
「ダメです。優枝をいじっていいのは俺です」

「…冗談だよ。冗談。ってか北見のほうがいじりやすそうだな」



 真剣な顔になった蓮に少し驚いた先生は一歩下がって言った。




 ホームルームが終わると先生に呼ばれた。



「理事長から言われたんだが…笠見財閥の令嬢なんだって?」

「そっ、それは…言わないでくださいね?」

「分かってるって。俺、こう見えても口堅いからな?」



 あんまり説得力のない言い方。



「優枝ちゃんさー、今晩俺とどう?」

「どうって何がですか?」

「そこからか――。北見すげぇな」

「はい?」

「今晩さ。俺とホテル行っていいことしない?」

「いいことって勉強ですか?」


 私にとっていいことって言ったら勉強かな?


「先生、すいませんねー。優枝はいいことって言ったら勉強なんですよ。特に数学好きなんすよ。ていうか、生徒口説かないでくださいよ」


「ちぇっ。こんなイイ女北見に渡すとかもったいねぇなぁ」



 …全然話しについていけない。



 いつものことだけど。



 蓮はそんなに難しい話しをしてるのかな?



「俺らの将来は約束されてるんですよ。先生もそろそろホントの運命の相手探したらどうです?」


 運命の相手?



 私はもちろん……蓮だよ。



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