Lasting
第5話 敵襲
背後の扉が、荒々しく開けられた。
「見ぃつけたっ」
喜びに弾む、低めの女の声がする。
振り返らず、シンはフェンスの外に広がる校庭を見ていた。
「なあ、アタシらと飯食おうよっ」
明るく誘ったミツキが、紙パックのストローへ口を付ける。
シンの視界に入る位置に、クオンとハルもやって来た。
「俺に構うな」
「ここの鍵、ピッキングで開けたのハルだけど??だからアタシらがいたって、問題ないだろ」
冷たい口調のシンに動じず、ミツキは笑う。
「…邪魔したな」
シンが身を翻して去ろうとすると―――左手首を掴みとられた。
「イラつくなって」
シンの細い手首を捕らえながら、ハルは唇の端をつり上げていた。
「離せ」
シンが腕を引き戻すため、力を込める。
しかし、ハルの身体は、びくともしなかった―――
「お前、何でそんな人を避けようとするわけ??」
シンの瞳を正面から捉え、ハルが投げかける。
「お前がヒカリちゃん以外としゃべっての、見たことねぇし…わざと他人を近付けないようにしてのか??後悔ってヤツしないために」
ハルにまくし立てられ、シンはその指を無理矢理ほどいた。
そして、視線を外して中等部の校舎へ向く。
ふと、その屋上に人影があるのに気付いた―――
「危ないっ!!」
状態を窺っていたクオンは、シンの視界を遮る。
次の瞬間、『ヒュッ』と乾いた音で、閃光を放つ物体がクオンの右肩を刺した。
「うああぁっ!!」
苦痛の悲鳴と共に、クオンは倒れ込む。
とっさに、シンがクオンの身体を受け止めた。
「クオンっ」
「バカ、伏せろっ」
無防備な駆け寄ろうとするミツキを守り、ハルは体勢を低くする。
「うっ…」
クオンが小さく唸り、出血している肩を押さえた。
傷に障らぬよう、シンはクオンを腕に庇いながら物影へ隠れる。
クオンの蒼白な顔が、シンの鼓動を騒ぎ立て、全身の血液を沸かせる―――
瞬く間に、シンは翡翠の光を纏っていた。
その場にクオンを寄り掛からせ、立ち上がる。
「見ぃつけたっ」
喜びに弾む、低めの女の声がする。
振り返らず、シンはフェンスの外に広がる校庭を見ていた。
「なあ、アタシらと飯食おうよっ」
明るく誘ったミツキが、紙パックのストローへ口を付ける。
シンの視界に入る位置に、クオンとハルもやって来た。
「俺に構うな」
「ここの鍵、ピッキングで開けたのハルだけど??だからアタシらがいたって、問題ないだろ」
冷たい口調のシンに動じず、ミツキは笑う。
「…邪魔したな」
シンが身を翻して去ろうとすると―――左手首を掴みとられた。
「イラつくなって」
シンの細い手首を捕らえながら、ハルは唇の端をつり上げていた。
「離せ」
シンが腕を引き戻すため、力を込める。
しかし、ハルの身体は、びくともしなかった―――
「お前、何でそんな人を避けようとするわけ??」
シンの瞳を正面から捉え、ハルが投げかける。
「お前がヒカリちゃん以外としゃべっての、見たことねぇし…わざと他人を近付けないようにしてのか??後悔ってヤツしないために」
ハルにまくし立てられ、シンはその指を無理矢理ほどいた。
そして、視線を外して中等部の校舎へ向く。
ふと、その屋上に人影があるのに気付いた―――
「危ないっ!!」
状態を窺っていたクオンは、シンの視界を遮る。
次の瞬間、『ヒュッ』と乾いた音で、閃光を放つ物体がクオンの右肩を刺した。
「うああぁっ!!」
苦痛の悲鳴と共に、クオンは倒れ込む。
とっさに、シンがクオンの身体を受け止めた。
「クオンっ」
「バカ、伏せろっ」
無防備な駆け寄ろうとするミツキを守り、ハルは体勢を低くする。
「うっ…」
クオンが小さく唸り、出血している肩を押さえた。
傷に障らぬよう、シンはクオンを腕に庇いながら物影へ隠れる。
クオンの蒼白な顔が、シンの鼓動を騒ぎ立て、全身の血液を沸かせる―――
瞬く間に、シンは翡翠の光を纏っていた。
その場にクオンを寄り掛からせ、立ち上がる。