私の視線のその先に・・・
「じゃ。よろしくね」
なんだか嬉しい気持ちになって、顔がゆるむ。
この高ぶりすぎた感情をどこに持っていけばいいのか分からなくて、
力いっぱい、彼から受け取ったプリントを抱きしめた。
返事もできずにただ頷くと、彼は背中を向けて自分の教室に戻って行った。
・・・話しちゃった。
目、合っちゃった。
どうしちゃったんだろ。
彼と話しただけで一日が楽しくて、楽しくて。
景色が全部輝いて見えた。
近くで見ても、カッコよかった。
いつもとは違うメガネをかけた彼。
少しハスキーなボイス。
少しつりあがった眉と目は、クールな印象だったけど今は違う。
笑うと、垂れ下がる。
本当に、夢みたいだった。
彼と話してる時だけ、まわりの雑音がすべて消えて、
彼の声しか聞こえなかった。
・・・彼しか見えなかった。
まるで時がすべて止まってたみたいに。