初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
 カメラから出てきた正方形のポラロイド写真。

「すぐに浮かび上がってきますので、大切にお持ちくださいね」

 それを茜さんから受け取り、あたしがシンさんに写真を手渡す。

「ありがとう」

 シンさんは嬉しそうに微笑んでそれを受け取ってくれたあと、

「一緒に撮ってくれて、ありがとう」

 あたしにもう一度お礼を言ってくれた。

「いいえ。こちらこそ、スタンプカードを埋めてくれてありがとうございます」

 ぺこん、と頭を下げて笑いかけたあたし。

「また一杯にしてくださいね」

 冗談めかして笑いながらそういうと、

「うんっ、もちろん」

 あの温かい笑顔が、すごくすごく嬉しそうに綻んでいた。

「それから――」

 ちらり、と小さくシンさんが周りを見渡したあと、

「――明日も、よろしくね?」

 こそり、と、すごく小さな声で耳打ちするように告げてくれて。

「はい――」

 少し照れたけど――その言葉に、にっこりと笑って頷いた。
< 125 / 212 >

この作品をシェア

pagetop