初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
 ポラロイドを手にしてお店を出たシンさんたち。

 それを見送って少ししたら、すぐに閉店の時刻を迎える。

 色々と閉店後の仕事をこなし、閉店から30分後にあたしもバイト終了。

「お疲れ様でした」

 着替えを済ませ、まだ残っていた茜さんと店長に挨拶をして勝手口から出て行くと、

「――さつき」

 いつもの壁に寄りかかり、あたしを待っていたのは――タクミ。

「タクミ――今日もわざわざ来てくれたの?」

 今日、タクミはバイトがお休みのはず。

 学校が始まっても、タクミはあたしのバイトに合わせて迎えに来てくれていた。

 タクミは部活もやっていて、すごく疲れてるだろうって思うし申し訳ないから、何度も「もう大丈夫」って言っているんだけど……

「ちょっと店に用事があったんだよ」

 あたしの言うことには耳を貸さず、何かと理由をつけてあたしを待ってくれている。

「ほら、帰ろうぜ」

「あ――……」

 ちゃんと言わなきゃ――って思うけれど、シンさんのことをきちんと説明できないあたしは、タクミに対して暗い気持ちが募って仕方がなかった。
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