初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
「……」
今日の帰り道は、なんだかちょっと後ろめたい。
明日、シンさんに会うから――なのかな……?
タクミがまだシンさんに対していいイメージを持っていないことを、まだ払拭させることができずにいた。
出来るだけ話をするようにしているんだけど――……
シンさんの話を出そうとすると、途端に不機嫌そうな空気を出してタクミはそっぽを向いてしまうから、いっつもそのままになっちゃう。
「ねぇ、タクミ――」
「うん? なんだよ、さつき」
電車を降りてアパートに向かう夜道の中、あたしは隣を歩くタクミを見て声をかけると、タクミもあたしを見て返事をしてくれる。
表情から察する限り、機嫌は悪くないはず。
春だって言っても、やっぱりまだ夜は少し肌寒くて、あたしは無意識にシャツの襟にそっと触れながら、
「バイトのない日も待っててくれてるって、やっぱり申し訳ないよ――……」
刺激しないように、やんわりと今日も切り出す。
「またその話かよ――」
ため息混じりの声がこぼれたあと、
「俺がやりたいからやってるんだよ」
やっぱり、いつもと同じことを言われた。
今日の帰り道は、なんだかちょっと後ろめたい。
明日、シンさんに会うから――なのかな……?
タクミがまだシンさんに対していいイメージを持っていないことを、まだ払拭させることができずにいた。
出来るだけ話をするようにしているんだけど――……
シンさんの話を出そうとすると、途端に不機嫌そうな空気を出してタクミはそっぽを向いてしまうから、いっつもそのままになっちゃう。
「ねぇ、タクミ――」
「うん? なんだよ、さつき」
電車を降りてアパートに向かう夜道の中、あたしは隣を歩くタクミを見て声をかけると、タクミもあたしを見て返事をしてくれる。
表情から察する限り、機嫌は悪くないはず。
春だって言っても、やっぱりまだ夜は少し肌寒くて、あたしは無意識にシャツの襟にそっと触れながら、
「バイトのない日も待っててくれてるって、やっぱり申し訳ないよ――……」
刺激しないように、やんわりと今日も切り出す。
「またその話かよ――」
ため息混じりの声がこぼれたあと、
「俺がやりたいからやってるんだよ」
やっぱり、いつもと同じことを言われた。