初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
「――そういえば、明日は病院……だったよな」

 そんなあたしの落ち込みを感じることなく、ふっと思い出したようにタクミがそう聞いてくる。

「あ、うん――」

 あたしも落ち込んだ心を悟られないように気をつけながらも、トーンダウンで返事を返した。

「……1人で抱え込むなよ」

 トーンダウンを受診のせいだと思ったらしいタクミは、またさらにぽんぽんとあたしの頭を撫でると、

「……明日、俺も一緒についていってやろうか?」

 そっぽを向きながらだったけど、そんなことを言ってくれて。

「えっ――」

「いや、ほら……誰か一緒だったら気が紛れるかなって思ってさ」

 そうは言ってくれたけれど。

 その――……

 明日は大切で大事な用事がある日で……

「俺、明日はバイト入ってるけど、店長に言えばシフトをずらしてもらえるし、病院が終わったらさ、マコにも連絡して久しぶりに3人で遊ぼうぜ」

 あたしのために言ってくれているのはすごく嬉しかったけれど。

 シンさんっていう先約がある――それは、絶対に外せない。
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