初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
「えっ、ど、どうして――っ?」

 予想していなかったタクミの登場に、あたしは頭が真っ白になる。

 口をパクパクさせながら、真っ直ぐあたしのところにやってくるタクミを見ているだけ。

「俺、今日のシフトはオープンからだからさ――ちょっと早めに出て、お前の様子を見に来たんだ」

 そう言いながら、タクミは微笑んであたしの頭を撫でる。

「ちゃんと受診に行ったみたいだな」

「う、うん――約束だからね」

「そうだったな」

 いつもみたいに乱暴にあたしの髪をかき回すことはなく、タクミは優しく撫でてくれたあと、

「――で、どうだった?」

「ん……いつも通り」

 可もなく不可もなく――

 ストレートに言うのがなんだか嫌で、笑いながら曖昧に答える。

「……そっか」

 その言葉で察してくれたタクミは、そっとあたしの頭から手を外す。

「駅まで一緒に行こうぜ」

 その言葉に、あたしはただ黙って――1つだけ、頷いた。
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