初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
緊張の土曜日・4 「あたしの名前」
車内。
「……」
何を話していいか分からず、黙ったままフロントガラス越しに外を眺めている。
まるで川の水のようにするすると流れて行く景色は、電車の窓から見える景色とはまた違って、なんだか不思議な気持ち。
街路樹や人があっという間に後ろへと過ぎて行く。
車に乗って移動するなんて――両親が生きていた頃でも滅多になかった。
お父さんは車の免許を持っていたけれど、家があまり裕福じゃなかったから自家用車なんて持っていなかったし、駅まで徒歩で20分ほどだから、家族の移動手段はいつも決まって電車だったし。
それに――ふかふかな座席と心地良い振動の静かなエンジンのおかげで、なんだか心地よすぎて……
自分でも、すっごくリラックスしすぎてるって分かってる。
ちらり、と目をやったナビの画面には、簡略化された地図とこの車を示すマークがゆっくりゆっくりと動いていた。
どこに行くのかな――?
まだ車に乗って10分ほどだけど。
でも、近くのお店だと思っていただけに、あたしの頭には小さな疑問符がひとつ浮かんで消えなかった。
「……」
何を話していいか分からず、黙ったままフロントガラス越しに外を眺めている。
まるで川の水のようにするすると流れて行く景色は、電車の窓から見える景色とはまた違って、なんだか不思議な気持ち。
街路樹や人があっという間に後ろへと過ぎて行く。
車に乗って移動するなんて――両親が生きていた頃でも滅多になかった。
お父さんは車の免許を持っていたけれど、家があまり裕福じゃなかったから自家用車なんて持っていなかったし、駅まで徒歩で20分ほどだから、家族の移動手段はいつも決まって電車だったし。
それに――ふかふかな座席と心地良い振動の静かなエンジンのおかげで、なんだか心地よすぎて……
自分でも、すっごくリラックスしすぎてるって分かってる。
ちらり、と目をやったナビの画面には、簡略化された地図とこの車を示すマークがゆっくりゆっくりと動いていた。
どこに行くのかな――?
まだ車に乗って10分ほどだけど。
でも、近くのお店だと思っていただけに、あたしの頭には小さな疑問符がひとつ浮かんで消えなかった。