初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
 それから程なくして、あたしたちのテーブルに料理が運ばれてくる。

 白い丸皿に、1口サイズに切られた薄いフランスパンと、その上にお花のような形で乗せられている生ハム。

 さらに生ハムの上には小さな黒い粒――これは何なのかな?

 それから、お皿の上部には、半分に切り分けられたプチトマトが彩として添えられていた。

「わぁ……」

 思わず、食べるのをためらいたくなるくらい綺麗で、あたしは思わずじっと見つめている。

「生ハムは手で食べたほうが食べやすいよ」

 ギャルソンが立ち去ると、シンさんはそう言って手でフランスパンの部分をつまんで持ち上げ、そのままぱくりと口へ。

 それに倣い、あたしも恐々フランスパンごと生ハムを持ち上げ、そっと口へ。

 小さく1口サイズになっていたから、あたしの口にも充分収まってくれた。

 生ハムって初めて――普通のハムよりほんのり塩分がきついかな?

 でも、すごく柔らかくって美味しい!

 フランスパンと一緒に食べたら塩分のきつさも緩和されている気がする。

 気がつくと口の中の生ハムは綺麗になくなっていた。

「美味しい――……」

 ほろり、と、無意識でそんな言葉がこぼれ出たほど。
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