初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
 お店のメイドとお客さん、それぞれお互いのプライベートを詮索したり知りたがることはルールで禁止されている。

 だから、余計な詮索はしちゃダメ――メイドのお仕事に集中しなきゃ。

 心の中で自分を戒めながら、カウンターでお冷とおしぼりの用意。

 今日も、シンさんはメニューを隅から隅まで楽しそうに眺めていて、向かいの真治さんは冷静にその様子を見て微笑んでいる。

「ご注文はお決まりでしょうか?」

 テーブルにお冷とおしぼりを置き、微笑みながらも少し控えめに声をかける。

「ん~、気になるメニューが一杯だなぁ……」

「――シンさん」

 コンコン、とテーブルを小さく叩いて真治さんがメニューに夢中だったシンさんを呼ぶ。

「――ん? あ、どうしたの? 真治」

「メイドさんがオーダーをとりに来てくれましたよ」

「あぁ、ごめんね。気になるメニューがたくさんだから、つい――」

「いいえ、どうぞごゆっくりお選び下さい。お呼びいただければすぐに参りますので――」

 笑いながらも慌てて首を横に振り、あたしはその場を離れようとしたけど、

「待って。――ぼく、今日もお絵かきオムライスと、おまかせパフェで」

「じゃあ、私はコーヒーを」

 慌てたようにシンさんが注文し、それに続いて真治さんも。

 かしこまりました、と頭を下げ、伝票に注文されたものを書き込み、すぐさまカウンターの裏にあるキッチンへ向かい、明るくオムライスをオーダーした。
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