初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
「ちょっと、タクミ。痛いよ――っ」

 お店の従業員の出入り口のある少し人通りの少ない裏通りから、にぎやかで人通りの多い表通りに出ても、タクミはあたしの腕を力強く掴んで引っ張ったまま。

 思わず、掴まれているタクミの手を、痛くないように弱く叩いてアピール。

「――危なかっただろ、お前」

「え……?」

 歩道の端で足を止めたタクミに従うように、あたしも立ち止まる。

 シンさんほどじゃないけれど、背の高いタクミを見上げると、怒ったような表情で前を向いていたタクミは、少し俯き、

「仕事が終わってから、少し店長にシフトのことで相談されてたから、さつきのことを迎えに行くのが遅くなったんだ。着替えて店を出ようとしたときにメールが着たから、さつきの店のほうに向かうと出会うと思って行ってみると、お前が変な男に絡まれてたのが見えた」

「あ……違うの、あの人はね、その――」

「客だろ? あの店の」

「そう、だけど……」

 確かに、シンさんはお客さんだけど……でも――……

「じゃあ、ルール違反じゃねぇか。あれ」

「……」

 責められているようなその口調に、あたしは言い訳を失った。
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