初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
「お前、優しすぎるんだよ。昔から」

 大きく首の後ろをかきながら、呆れた表情であたしを見るタクミ。

「前に付きまとわれかけた時だって、お前が頭を下げるから、店が客に穏便に注意するだけで終わっただろ?」

「あれは、お店の中での出来事だけだったし、待っていたいって言われたけど未遂だったから――」

「優しすぎるんだよ、さつきは」

 ぽん、とタクミの手があたしの頭に乗る。

「ったく――心配する身になれよ」

「タクミ……」

「……お前に何かあってからじゃ、嫌なんだよ」

 少し吊り気味の、タクミの目と力強い表情。

 少したれ気味で優しい目で朗らかな表情のシンさんとは、見た目も気質もまるで正反対なはずなのに。

 どうして同じような感覚を感じるんだろう?

 錯覚? それとも――

「……」

 この気持ちが分からず、あたしは、ただただ混乱と戸惑いの表情を浮かべるだけだった。
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