初恋は前途多難! ~朗らか社会人とメイド女子高生 【1:出会い編】
「久しぶりね。バイト三昧の春休みはどうだった?」

 登校する道すがら、マコはあたしに笑いかけながらそう聞いてくる。

 タクミと同様、マコも独りになったあたしを色々と心配してくれて、何かと助けてくれようとしてくれる、頼りになる友人。

 春休み中、あたしが毎日バイトに入っていたから、マコとは全然遊ぶことができなくて、ずっと携帯のメールだけのやり取りで会話をしていた。

「相変わらず楽しいから、もっと働いてもいいかなって思うくらい」

 あたしもにっこりしながらそう答えると、

「――」

 一番端にいたタクミが、何かを言いたそうにちらりとあたしを見たけれど、またすぐに視線を外す。

 ……この間のこと、気にしてるのかな?

 あたしがシンさんとお店の勝手口で出会ったこと――……

 タクミは本当にシンさんのことを警戒してた。

 あの日以降、ずっと帰りはタクミが勝手口で待ってくれている。

 そのためにバイトの時間も合わせてくれているようだし、バイトがない日でも、わざわざあたしのためにお店の勝手口にやってきて、いつものように待ってくれていた。

 何度か「シンさんはそういう人じゃない」って説明したけど――納得してくれていない。

 それはちょっと悲しいけど……でも、しばらくしたらタクミだって納得してくれるよね。
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