えがお~最後に残した言葉~



次の日の朝早くに

「琳行くよ」

僕らは病院を出た。

琳はさっきから
どこ行くの?
どこ行くの?
とばかり言っている。

その理由は僕が
秘密って言って
教えてないから。

楽しみは最後まで
取っておかないとね。

それから僕達は
バスに乗って

10分ぐらいのところにある
プラネタリウムに来た。

「ここ…?」

琳は目をキラキラさせて
プラネタリウムの
外を見ていた。

少し前に
琳が寝言で言っていた
ことを思い出す――――

《琳、星が見たい…》

だから僕は
遊園地でもなく
動物園でもなくて

プラネタリウムを選んだ。

「何で?何でっ?
どうして琳が
星みたいの解ったの?」

少し興奮気味の琳に
肩を揺らされる。

さぁ…
ととぼけてみた。

口をへの字にさせて
納得がいかないような
顔をしていたのに…

開演時間になった途端、

「時間だ!
早く入ろうよっ♪」

思いっ切り
手を引っ張って行く。




  *  *  *  *


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