答えを導く少女
24. 過酷
伊藤君が資料を持って来てから数日後、『ヘブン』内で『Xファイル』の情報を公開された。


さらに一年以内に仮想世界から現実世界へ行きたい者は『W』に書類を提出することを義務付けた。


アカネのお父さんの演説で『ヘブン』から全世界へ、現実世界の存在が知れ渡った。


シミュレーション通りに人々は困惑していた。


メディアでは評論家が賛成・反対を毎日のように述べていた。


メディアは盛り上がるために、偽情報も流し始めた。


情報操作はされなかった。


それは伊藤君の提案から実行されていた。




『人々に選択させる』




伊藤君は真実か偽りかを決めるのは情報を受けた人で判断してもらい、現実世界へ行く意志を固めてほしいと願っていた。


行けば仮想世界へ戻ることは許されない。


さらに現実世界は『無』の世界だ。


厳しい日々を過ごすことになるのは間違いなかった。


それでも現実世界へ行きたい人がいれば歓迎したいと話していた。


『W』ができるかぎりのサポートを行う。一年間で現実世界へ行きたい人を募集し、その後は半年間にわたって訓練する。


サバイバル経験を積み、現実世界でも生きられる人間へと成長させる。










アカネのお父さんの演説から一カ月が過ぎた。


アカネの報告で参加者は約3万人、現在も増加中となった。


ほとんどが技術者や科学者などの専門分野の人達だったが、一般人も3割程いた。


これからは、一般人が増えて行くと予想された。


『W』の調査部隊を増員させ、世界の状況を調査した。


調査の結果が出る度にシミュレーションを行い、世界紛争が起きないようにコントロールした。


『G』の活動はアカネのお父さんが演説して以来一件も起きていない。
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