答えを導く少女
29. 教官
仮想世界への手続きが終了し、同時に参加者の訓練が開始された。


一週間のプログラム内で、技術や知恵を学ぶ。


訓練教官では、サバイバルで名の知れた者達が採用された。


この人達の中には『W』とは今まで関わりのない人も含まれているが、共に現実世界で暮らす仲間を支えたいと引き受けたらしい。


他国から『ヘブン』へ次々に来る日々が始まった。


『ヘブン』内でも訓練者が来られるため、経済成長率は過去最高となった。










私とアカネを含む選抜部隊は訓練が開始された日から二カ月後に行う予定だ。


訓練後には現実世界へ行き、環境作りをする。


計算では私達が現実世界へ向かった日から約16カ月後に一般人が送られる予定だ。


その期間までに環境を造らなければ『W』の描いた計画も水の泡となる。


私は夫にアカネと現実世界へ行くことを話した。


病気のことや仕事のこと、さらにアキトのこと。選抜部隊のため、幼い子供を連れて行くことはできないとアカネに言われたからだ。


夫はアキトと一緒に現実世界に行くことを約束した。










世界の情勢は現実世界へ向かう人に対して批判する者が現れた。


仮想世界に残る者が正しいのだと主張する。この問題は予測されていた。


そのため、一度シミュレーションしたが、現状も踏まえてもう一度この問題がどのように発展していくのかをシミュレーションするように頼まれた。


結果として参加者の減少・国内テロ・『ヘブン』への一斉攻撃等を導いた。


この問題を全て解説することは不可能として、最低限の問題だけは解決させるように教えた。


訓練施設破壊と『選択の石』破壊の防止である。


これは前回のシミュレーション結果と同じであった。


この対策として、アカネの指示で夫は訓練施設と『ヘブン』を守り、『選択の石』は他の者が行うことになった。
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