嘘と苺とショートケーキ 【短編】
『べべべ別に平気だよ!は、話ってなに!?』
できるだけ平静を装って、あたしは自分的に最大限の澄まし顔でナオを見た。
ナオの頬はほんのりと赤く染まっていて、それを見たあたしの心臓はどきりと鳴った。
『(!!く、くる…!)』
これからきたる衝撃に備えるべく、ぎゅうっと堅く瞳を瞑った。
「…俺、さ……」
心臓が爆発しそうっ…!
「やっと彼女ができたんだよ!」
―――――はっ?
今、なんて言った?
意味がわからず瞠目していると、ナオは照れ臭そうに鼻を掻いた。
「C組の冬薙(ふゆなぎ)さんって子なんだけど、知ってる?昨日告ったらOKもらえてさ!」
冬薙さんが誰かなんて、知ってるに決まってる。
男癖がかなり悪いことで有名だから。
「ほら…前、ツキナに女の子の誕生日プレゼントはなにが良いかって聞いただろ?」
うん、2週間くらい前に聞かれたよ。
…てっきり、ナオがあたしのために悩んでくれてるんだと思ってたのに。
「あれ、冬薙さんにあげるやつを考えててさ。昨日が誕生日だったんだ、それでプレゼント渡してから告白ってわけ」
……なに、それ。
じわじわと歪み始める視界の彼方で、追い討ちを掛けるようにナオは言った。