嘘と苺とショートケーキ 【短編】
「お前は俺の親友だから、一番に報告したくてさ!」
―ズキンッ!!
…もう、やめてよ。
どこまであたしを堕とせば気が済むの。
聞きたくないよ。
知りたくなかった、そんなこと。
『っ、冬薙さんは…!』
キスとそれ以上のことが終わったら、きっと捨てられちゃうよ。
彼女は面食いだから、すぐに新しい男に目移りするんだよ。
今まで一番長く続いた彼氏は、1ヶ月らしいよ。
そんな子にOKされて、嬉しいの?
………なんて、言えるわけがない。
『…………よっ…良かったじゃん!!もー、何事かと思って焦ったでしょ?』
「へへっ。ツキナをびっくりさせたくてよ!」
『かなーり驚かされたわ!おめでと!…あ、もうすぐ予鈴なるから帰るね』
「おう、わざわざありがとな」
いつもみたいに、なんの変化もないみたいに。
ナオは、あたしの頭をくしゃりと撫でた。
その掌にはなんの想いも乗っていないことを、とうに理解していたのに。
『……っ、ばいばい…!』