嘘と苺とショートケーキ 【短編】


「お前は俺の親友だから、一番に報告したくてさ!」




―ズキンッ!!




…もう、やめてよ。


どこまであたしを堕とせば気が済むの。


聞きたくないよ。


知りたくなかった、そんなこと。



『っ、冬薙さんは…!』



キスとそれ以上のことが終わったら、きっと捨てられちゃうよ。


彼女は面食いだから、すぐに新しい男に目移りするんだよ。


今まで一番長く続いた彼氏は、1ヶ月らしいよ。


そんな子にOKされて、嬉しいの?




………なんて、言えるわけがない。




『…………よっ…良かったじゃん!!もー、何事かと思って焦ったでしょ?』


「へへっ。ツキナをびっくりさせたくてよ!」


『かなーり驚かされたわ!おめでと!…あ、もうすぐ予鈴なるから帰るね』


「おう、わざわざありがとな」



いつもみたいに、なんの変化もないみたいに。


ナオは、あたしの頭をくしゃりと撫でた。


その掌にはなんの想いも乗っていないことを、とうに理解していたのに。





『……っ、ばいばい…!』





< 12 / 44 >

この作品をシェア

pagetop