嘘と苺とショートケーキ 【短編】
辿り着いた自分の教室の扉をカラカラと静かに開けると、騒音が耳に飛び込んできた。
ボールが宙を飛び交ったりしていて、幼稚だなと思わず呆れてしまう。
女子の大半は、ケータイを弄りながらグループを形成して喋っていた。
男子はゲーム機で遊んでたり、野球してたり。
そんな中、空席―――あたしがいないため空いた席の隣、呉暁は1人静かに参考書を開いていた。
……やっぱり。
もう、外見派手なくせにそういうところ真面目なんだよ。
『(…っ…やっぱ好きだ…)』
胸がじーんと温まる。
意識した途端、顔が熱くなっていくのがわかった。
…でも、どうしよう。
告白するぞって意気込んで来たけど……呼び出すとか?
『(どうしようどうしよう…)』
色々考えた結果、廊下に連れ出してから告白することにした。
小さく拳を握り締めて、教室に踏み込んだ。
騒音の波が、どわっと押し寄せてくる。
辺りを見回しても、誰1人としてあたしが入ってきたことを気に留める人はいなかった。
そのままスタスタと歩いていき、自分の席にすとんっと座った。