嘘と苺とショートケーキ 【短編】
―ガタンッ!
居ても立ってもいられず、勢いよく席から立ち上がった。
呉暁は一瞥すらしない。
まるであたしは眼中に無いと言われてるみたいで、涙が零れそうになった。
それをどうにか堪えて、呉暁の机の前に立った。
さすがに気になったらしく、呉暁が顔を上げる素振りを見せた。
…今しかないっ!
―がしっ!
「…は?」
眉根を寄せる呉暁の両頬を掴んで、そのまま顔を近付けた。
唇と唇が、本日2度目の接触をした。
「……な、っ!」
目を見開いている呉暁から手を離して、あたしは叫んだ。
『好きなのっ!!!』
あたしの大声に気付いたらしいクラスメイトたちが、ざわざわとこちらを見守る。
呉暁は林檎のように顔を赤くさせて、口をぽかんと開けていた。