嘘と苺とショートケーキ 【短編】
「…邑瀬は、」
『好きだったけど!……少し一緒にいただけで、あたしは呉暁のこと好きになっちゃったの!呉暁が藍依のこと好きでも……あたしは呉暁が好きだから!!』
一息に言い切ると、クラスの男子から冷やかしの声が飛び交った。
カチンときたから言い返そうとした時、あたしより先に声が飛んだ。
「オレも、倉眞さんが好きだ!」
顔を真っ赤にした呉暁が立ち上がって、見せ付けるようにあたしの肩をぐいっと抱いた。
ふにっ。
それから頬に、柔らかい感触。
…キスをされたんだと、少ししてから気付いた。
『く、くく呉暁っ!?』
「……つーわけで、倉眞さん狙いの野郎は諦めろよな!」
にやりと笑って捨て台詞を吐くと、呉暁はあたしの腕を引いて教室を飛び出した。
「……くっ!やるな、呉暁ぃ…!」
「おい藍依、歯ぎしりはするなよ」