月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
2-5 オリバイン
***
美由樹が突然、あたしと梓の腕を引っ張って言った。
「ちょっと、あたしビックリしたの!」
あたしと梓は、頬をピンクにして興奮気味な美由樹を見る。
「な、なに」
「どしたの?」
朝の学習時間、略してアサガクの時間が終わった途端、美由樹が駆け寄って来たのだ。いつもキャッキャしてるのにいつもより数倍キャッキャしている。
「あのさ、ナマハゲ吉永! すごーいの」
「なにが」
「凄いよね、ボサボサ具合とか」
「ちがーう」
3人の掛け合いは自分でもちょっと漫才みたいと思ったけど。
「違うの違うの。イメチェン、凄いのよ格好良くなっちゃて」
ミーハーな女子なんかは職員室に見に行ったりしていたが、あたしと梓は気が進まなくて座ったまま遠くを見ていた。
男子までもが「なんか格好良くなったらしい」とか言ってる。