月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
「見に行かない?」

 行きたいのは美由樹。

「そのうち校内で会うよ……」

 梓の言うとおりだ。わざわざ見に行かなくてもいいし、あたしなんかは生徒会で会うと思うし。

 行くの行かないのと言っているうちに、1時間目開始のチャイムが鳴る。

「んじゃあ、昼休みにでも覗いてみよっか」

 あたしが言うと、2人は頷いてニッコリ笑った。結局、興味津々じゃん。



 ノートの上をシャープペンや鉛筆が走る音と、先生の声が響く教室。

 授業に集中していても、頭の大半は冬海の事でいっぱい。それはもう大変だ。数日前からそう。

 オセロみたいに、クルリクルリと変えられていく色。あたしの頭の中。

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