月光レプリカ -不完全な、ふたつの-

***


 昼休み、ご飯を食べた後にあたし達3人は職員室に向かって居た。
 教室を移動する生徒や廊下で語り合うカップル、無駄にうるさい男子生徒集団なんかをくぐり抜けて職員室へ。


「吉永センセー、居るかな?」

 美由樹は楽しそう。「さあね」と言う梓は眠そう。

「んー居ないっぽいな」

 職員室のドアを少し開けて、こっそり覗いた美由樹が言う。

「居ないの? 吉永」

「俺になんか用か」

 3人とも、あまりの驚きに声が出なかった。後ろから聞こえて来たのはその吉永先生の声。

「呼び捨てにすんなよ、3人娘。幸田、お前が居ながら」

「ええ、そのあの」

< 106 / 394 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop