月光レプリカ -不完全な、ふたつの-
 グダグダになりながら振り返った3人の目は、これでもかってくらい見開いていたに違いない。

 ほぼ9割ジャージなのに、シャツに薄手のジャケットを羽織って、身長が高い為にとても似合っている。そして驚くべきはボッサボサだった髪の毛が短くなっていて。

 ……カッコイイ。

「せんせー! イメチェン成功ですねぇっ」

 先に声をあげたのが美由樹。「おう、そうか?」とかなんとか言いながら、ドヤ顔の吉永先生。

「……先生って、なかなかイイ男だったんですね。ヒゲモジャの下」

「ヒゲじゃないだろ」

「たてがみ?」

「お前らな……」

 素直に、アカ抜けたと思う。ステキになった。きちんとすればステキな先生だったんだなぁ。
 じっと見た。うん、「教えるのが凄く巧い先生」っぽい。

「この前な、幸田に30代後半に見えるって言われてちょっとショックだったからな」

「そんな事……言いましたねそういえば」

 ろくな事覚えてないのね。冬海との事といい。

< 107 / 394 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop